固定サイクルとは、よく使われる加工を1ブロックで出来るようにしたGコードです。
穴加工などで使用します。
G98、G99と合わせて使用します。
ここで紹介する以外にも、まだ沢山あるのですが小型CNCフライスで使用しそうなのはこれくらいだと思います。
これ以外の固定サイクルは気が向いたら追加していきます。
- X、Y:穴位置
- Z :穴底位置
- R :リファレンス点(参照点)の位置
- Q :1回の切り込み量(ステップ量)
- F :送り速度
- P :ドウェル
- K :繰り返し回数(省略可)
G73(高速深穴ドリルサイクル)
深穴を加工する際に使用します。
Qで指定した値だけ切り込んだら、パラメータで設定されている値だけ工具が上昇(逃げ)します。
この動作によって、切り粉がカットされ工具に長い切り粉が巻き付きにくくなります。
書式
G98(G99)G73X_Y_Z_R_Q_F_K_
穴位置をサブプログラムで記述する場合は、
G98(G99)G73Z_R_Q_F_K0
M98P____
G99 G73 X-10.0 Y-10.0 Z-10.0 R1.0 Q3.0 F120 K1
(パラメータで逃げ量1mmに設定してある場合)
X-10.0 Y-10.0の位置に移動
Z1.0まで早送りで移動
Q3.0なのでR1.0の位置から3mm下、Z-2.0まで切削送り
逃げ量1mmなのでZ-1.0まで上昇(ここで切り粉をカットする)
Z-2.0まで加工してあるのでZ-5.0まで切削送り
逃げ量1mmなのでZ-4.0まで上昇(ここで切り粉をカットする)
・
・
Z-10.0になるまで繰り返す
G81(スポットドリリング)
1度にZの値まで切り込みます。
ステップは行いません。
主に浅い穴で使用します。
書式
G98(G99)G81X_Y_Z_R_F_K_
穴位置をサブプログラムで記述する場合は、
G98(G99)G81Z_R_F_K0
M98P____
G82(スポットドリリング ドウェル)
1度にZの値まで切り込みます。
ステップは行いません。
P_で指定した時間、穴底でドウェルします。
主に、センター加工や座繰り加工で使用します。
書式
G98(G99)G82X_Y_Z_R_F_P_K_
穴位置をサブプログラムで記述する場合は、
G98(G99)G82Z_R_F_P_K0
M98P____
G83(深穴ドリルサイクル)
深い穴を加工する時に、問題になるのが切り粉の排出と切削油の刃先への供給です。
G73と違うのは、工具が指定された切り込み量に達するとパラメータで設定された値だけ工具が上昇するのがG73です。
G83の場合は、切り込み量に達するとR点(リファレンス点)まで上昇します。
これにより、切り粉の完全な排出と刃先への切削油の供給を行います。
書式
G98(G99)G83X_Y_Z_R_F_P_K_
穴位置をサブプログラムで記述する場合は、
G98(G99)G83Z_R_F_P_K0
M98P____
G99 G83 X-10.0 Y-10.0 Z-10.0 R1.0 Q3.0 F120 K1
(パラメータで、戻り値0.5に設定してある場合)
X-10.0 Y-10.0の位置に移動
Z1.0まで早送りで移動
Q3.0なのでR1.0の位置から3mm下、Z-2.0まで切削送り
R1.0なのでZ1.0まで上昇(ここで切り粉を排出、切削油供給)
戻り値0.5なのでZ-1.5まで早送りで戻る
Z-2.0まで加工してあるのでZ-5.0まで切削送り
R1.0なのでZ1.0まで上昇(ここで切り粉を排出、切削油供給)
戻り値0.5なのでZ-4.5まで早送りで戻る
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Z-10.0になるまで繰り返す
G80(固定サイクルキャンセル)
固定サイクルをキャンセルします。
固定サイクル終了時に使用します。
G00、G01、G02、G03などが指令されてもキャンセルされます。